2013年5月、岩手・宮城・福島にて 小田和正さんの
コンサートが開催されました。
東北を想いつづけてきた小田さんと 会場に集う たくさんの
お客さまの歌声がひとつになり、
大きなエールとなって響きわたった6日間。
皆さまからのご支援は東北3県それぞれの桜植樹団体への
活動に役立てられるとともに、
支援の輪を広げるアクションにつながっていきます。
宮城・岩手・福島とのべ6日間にわたった
小田和正さんの東北ツアー「その日が来るまで」。
「東北さくらライブプロジェクト」として、
はじめての取り組みでした。
期待と不安の中はじまったコンサートは
小田さんの素晴らしい歌声と、
お客様のキラキラした笑顔に包まれて最高のものに。
東北を元気にしたいと思ってはじめたことが、
会場では、逆に元気をもらうことばかり。
人と人のつながり、そして、
音楽の力をあらためて実感しました。
素晴らしい東北での日々を、振り返っていきます。
私たちの会場での一番の仕事は、「ロビー展示」でした。
お客様に「桜の植樹活動」を知ってもらうため、
色々な展示物を制作しました。
どんなメッセージが良いか?どの写真が良いか?
それぞれが仕事の合間に打合せを重ねました。
会場では、展示物を写真に撮ってくださる方や
ブースに話を聞きに来られる方もいて、
飛びあがるほど嬉しかったです。つくって良かったなと。
搬入・搬出も自分たちで。
これがかなりの体力仕事で、
なまった腕や腰は連日筋肉痛に・・・
搬入の一番きつかった会場が、岩手県民会館。
来場頂いたお客様はご存じだと思いますが、
入口からホールまでがずっと「階段」なんですよね。
そこをわっせわっせと重たいパネルを持って運ぶので、
もう汗だく。
手伝ってくれたアルバイトくんたちと、
コーラで休憩しながら、 なんとか乗り切りました。
これも素敵な出会いだったなと。
お客様が帰ったロビーで、
仲間と小田さんの曲を口ずさみながら展示物を運ぶ。
「まっすぐな愛と、くじけそうな夢と~」
豪快にハズれた歌声が、夜の会場に響き渡っていました。
いやぁ、楽しかった。
この展示物は、今後予定している
各地での啓蒙活動でも、活用させて頂きます。
私たちのもう一つの仕事が、「コーラス」でした。
コーラスのことを聞かされたのは、実はコンサートの2日前・・・。
さらに私たちは、恐ろしいほどの音痴ぞろい・・・。
声は大きいが、音はとんでもなくハズれている。
とにかく練習あるのみ!ライブ前日は各自ホテルにこもり猛練習です。
隣の部屋から漏れ聞こえてくる、お経のような歌声に眠れぬ夜でした。
迎えた仙台公演初日。ステージに上がり、2000人のお客様を眼前にすると、強烈な緊張に襲われ、
足も声も震えて、ひきつった笑顔になってしまいました。情けないかぎりです。
私たちが会場でお役に立てることは、数少ないわけですから、
少しでも力になりたいという一心で、また練習、練習、練習。
ツアースタッフさんの、「ダイジョウブ!上手い下手じゃない!こころだよ」
という言葉にも励まされ、回数を重ねるごとに大きな声が出せるようになっていきました。
最後の福島公演では、ほんとに気持ちよく歌わせて頂きました。(ちょっと泣きました)
このスタッフコーラスは、イベンターさんやレコード会社さんなど、
コンサートに関わる全スタッフの距離がぐっと近づくとても心地のよい時間なのです。
みなさまにも、私たちの「声」は届いていたでしょうか。
ステージ上の小田さんと、
バンドメンバーは本当にまぶしくて。
それを見つめるお客様の表情も、
負けないくらい輝いていました。
「ラブストーリーは突然に」のイントロが流れると、
お客さんは見計らったように一斉に立ち上がります。
まさにこの突然のできごとに驚きながらも、
そのパワフルさに、こちらも興奮しました。
恒例のご当地紀行も最高です。
個人的には、福島会場の映像に抱腹絶倒。
編集のうまさに驚きです。
さて、
6公演の中でひときわ拍手が大きかった曲がありました。
それは、福島公演初日の「その日が来るまで」。
サビにさしかかった時、
小田さんが感極まって声を詰まらせました。
すると・・・、
会場のお客様から小さいけれど
確かな合唱が起こったのです。
「きみが好き、きみが好き」
小田さんの想いは、たしかに届いていました。
会場が割れんばかりの拍手。
気づけば私たちスタッフも、みんな泣いていました。
鳴り止まない拍手を聞きながら、
「時がこのまま止まってしまえばいい」、
そんなことを思った瞬間でした。
今回のコンサートは、東北の桜植樹団体を応援することが目的でした。
宮城県の「さくら並木ネットワーク」、岩手県の「桜ライン311」、
そして福島県の「ふくしま浜街道 桜プロジェクト」。
三つの団体は、立場や置かれている現状はそれぞれ違います。
それでも見ている未来はきっと同じ。
「東北を元気にしたい」
その想いは揺るがないたしかなこと。
いつか東北の沿岸部が、桜でつながることを想像してみてください。
それはきっとこの国が世界に誇るべき景色です。
あの震災を僕らの時代だけで終わらせずに、しっかりと後世に伝えていく。
小田さんがステージでもおっしゃっていました。
「桜を植えることが直接、なにか被災地のためになるわけではないかもしれないけど、いつか、
満開のさくらを見て、人々が笑ったり、色んなことを想ってくれればいい」
日本中の人が、東北の桜植樹を応援するようになってほしい。
そのために、現地の人の頑張りを、広く発信していくことが大切だと思っています。
少しでもその力になれるよう、私たちもエールを送りつづけます。
会場の横には美しい中津川。
岩手山からはやさしい風が
吹きおろし、
みなさんの笑顔もどこか
清々しい。
盛岡名物じゃじゃ麺の
おいしさは、Yes-No ?
人によりますね・・・
(※画像をクリックすると
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初日は
あいにくの空模様でしたが、
最終日にはきっちりと
止んでくれたやさしい雨。
気持ち良く晴れて、
最高のフィナーレを
迎えました。
仲良くなったスタッフの
皆さまとも、
これでさよならかと思うと、
とても寂しい気持ちに
なりました。
(※画像をクリックすると
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今、小田さんの曲(お気に入りのグッバイ)を聴きながらこのレポートを書いていると、
コンサートがまるで昨日のことのように思い出されます。
会場の熱気、興奮、感動、拍手、涙・・・。
東北さくらライブの第1回目は
小田和正さんと、たくさんの人たちの応援によって、
素晴らしいコンサートとなりました。
自分の感謝の念をすべてつかっても、まったく足りないほどです。
このプロジェクトをスタートさせてから、
色々なご意見を頂くようになりました。
そのたび、励まされながら、悩みながら、姿勢を正しながら。
東北の沿岸部が、桜でいっぱいになるその日が来るまで、
私たちなりに頑張っていこうと気持ちを強くしています。
東北での6日間は、夢のような時間でした。
さて、この夢のつづきは・・・。
いつかまた、皆さまに会える日を楽しみにしています。
今日も東北のどこかで、頑張っているひとがいる。
そのひとたちに、これからも寄り添っていけるプロジェクトでありたい。
そう思っています。
5年後も、10年後も、その先もずっと、ずっと。
東北さくらライブプロジェクト、スタッフ一同より
すべての方へ感謝をこめて、事後レポートを終えたいと思います。
心より、ありがとうございました。
文 / 三上和輝 写真 / 小柴尊昭